妻が日本に来て3年めにはいった。
パートで働きはじめてベトナム人や同じフィリピン人の友達でき、仕事にも慣れてきたようだ。
来日して2年間は新型コロナウィルスの影響もあって、ほとんど家にいたので働きに行って世界が広がるのはとても良かった。
こうした環境の変化もあるのかもしれないが、最近はずっと日本で暮らしたいと思い始めたようだ。
先日食事をしているときに「セブに住みたいですか?」と私に訊いてきた。
私は冬と夏はセブ島、春と秋は日本で暮らしたいと思っている。
完全に生活の拠点をセブ島にするかどうかを決めるのは実際にセブに住んでから決めても遅くないと考えている。
妻がこれからも日本で暮らしたいというのなら、決して悪い選択ではないと思う。
心配なのは子供たちのことだ。
今は子供たちは妻の姉の家で面倒をみてもらっている。子供を家族に預けて海外で働いているフィリピン人はとても多い。
とはいっても子供たちも親も一緒に暮らしたいというのは当然のことだと思う。
そんなこともあって、妻は子供たちを日本に呼び寄せたいといい始めた。
一緒に暮らしたいというだけでなく、子供たちの将来を考えるとフィリピンよりも日本のほうが良いと思っているようだ。
私は子供達を少なくとも大学まではいかせるつもりだが、フィリピンでは大学を卒業しても必ずしも良い職に就けるとはかぎらない。
どの大学のどの学部を卒業するかで就職先も変わるのは日本と同じだし、子供たちが大学を卒業するころはフィリピン経済も大きく変化しているとは思う。それでも社会構造はあまり変わらない気もする。
子供たちを日本に呼び寄せることは手続きさえすればすぐにでも可能だが、この先ずっと日本で暮らすとなると問題も多い。
まず子供たちが日本になじめるかということ。下の子はまだ小学校低学年なので日本語さえしっかり覚えれば何とかやっていけるのではないかと思う。
上の子についてはかなり心配だ。すでに小学校高学年ですぐに中学生になる。15歳の日本とフィリピンの中間層以上の家庭の子供の学力差には大きな開きがある。
下の表は2018年度OECDの学習到達度調査の平均点だ。
日本の生徒の学力は世界でもトップクラスだがフィリピンの生徒の学力は残念ながら読解力で最下位。数学と科学のリテラシーは下から2番目。
読 解 力 | 数学的リテラシー | 科学的リテラシー | |
日 本 | 504 | 527 | 529 |
フィリピン | 340 | 353 | 357 |
日本とフィリピンの生徒の能力に大きな違いはないはずなので、この結果は教育プログラムや教育環境が大きく影響しているとフィリピン教育省の長官も認めている。
新型コロナの影響でフィリピンでは未だに学校での教育がストップしている。となるとこの差がさらに広がっているとみるべきだろう。
上の子が日本に来て学校に入ってから日本の子供との学力差を埋めるのは非常に困難だ。授業は日本語で行われるのでハンデはとてつもなく大きい。
しかもすぐに高校受験がある。本人の努力だけでは乗り越えられない大きな壁があると思う。
多感な思春期に大きな挫折を味わせるのは親としては絶対に避けたいところだ。
そう考えると、少なくとも上の子はこのままフィリピンで大学まで教育を受けさせるほうが本人のためにも良いのではないかと思う。
大学まで行けば専門的な領域の教育になるし、なにより日本人に欠けている英語の能力がつくので日本人よりも世界で活躍できる可能性は広がるのではないだろうか。