”ぼんぼん”マルコス、新大統領に

5月9日にフィリピンで選挙が行われた。この日の選挙は大統領だけでなく州知事や市長などの選挙も実施されるという大規模なもの。

新しい大統領にはBBMことフェルディナンド・ロムアルデス・マルコス・ジュニア氏が、副大統領には現大統領ドゥテルテの娘のサラ・ドゥテルテ氏が選出された。

ボンボン・マルコス氏は、1965年に大統領に選出され、のちに戒厳令を敷き独裁者と呼ばれ1986年のエドゥサ革命で国を追われたフェルナンド・マルコス氏の息子だ。

このエドゥサ革命は日本でも連日大々的に報道されたのを覚えている。

父親と息子は別人格だとはいえ、今回の選挙結果には時代の変化を感じずにはいられない。

前回の大統領選挙では副大統領候補として出馬していたが、結果は女性候補のレニー・ロブレド氏に敗れていた。今回彼女も大統領選挙に出馬していたが、ボンボン・マルコスの得票数の半分以下という結果となった。
ボンボン・マルコス氏が雪辱を果たした格好だ。

副大統領選を制したサラ・ドゥテルテ氏の人気は圧倒的で、2位の候補の3倍の得票数となった。
こちらは親の七光りもあったのだろう。

フィリピンの選挙は日本と違って大いに盛り上がることで有名だ。
過去には酒に酔った支持者が反対陣営の支持者と揉めて殺人事件を起こすようなこともあったようだ。だから選挙当日はお酒を売ったり、飲食店でお酒を出すのは禁止されている。

もう一つ選挙にはお金がつきもので、いまでも票を買うことが密かに行われているらしい。
まあ、日本も戦後しばらく同じようなことをやっていたので偉そうなことはいえない。
フィリピンでは「あの候補はいくらくれた、こっちの候補はケチだった」などという話もしているらしいので、ことの善悪はともかくあっけらかんとしていて、不謹慎だとは思うが面白い。

日本と違うのは、フィリピンでは投票するのに選挙人登録をする必要があることだ。
日本の場合、住民基本台帳に基づいて市町村の選挙管理委員会が選挙人名簿を管理し、選挙が近づくと投票所の入場整理券が送られてくるので選挙人登録をする必要がない。

この入場整理券を投票所で立会人が確認し、引き換えに投票用紙をもらって投票する。一度投票した人のデータは投票所で管理しているので2回投票することはできない。

フィリピンは投票したら爪にインクを塗って2回投票ができないようにしている。
指を見たら一目瞭然で投票したかどうかわかるのだ。

夕食のときに「フィリピンにいたらどの候補に投票した?」と妻に尋ねてみた。
妻はちょっと考えて「マニー・パッキャオ」と答えた。

なかなかいい選択だと私は思った。


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