毎朝シャワーの後は、バナナ一本とコーヒーを飲みながらネットのニュースを読むのが日課になっている。
今朝もいつものようにバナナを頬張って日本経済新聞を眺めていたら、「バナナに『絶滅』の危機」という見出しが目に飛び込んできた。
何事かと思って読むと、普段私達が食べているキャベンディッシュ・バナナを襲う「フザリウム菌(TR4)」が流行していて、すでに20か国で確認されているとのこと。
第二次世界大戦後のヨーロッパで配給されて多くの人が喜んで食べたグロスミッチェル・バナナは、初代フザリウム菌によってほぼ絶滅した。この時に最も大きな被害を受けたのがパナマだったので「パナマ病」と呼ばれている。
バナナには種がない。バナナの根元から生える新芽を摘んで、それを苗にして栽培することで次のバナナができる。つまり次の世代のバナナも元のバナナと同じ遺伝子のバナナだからクローンだ。それだけに病原菌に対して非常に弱い。しかもすでに感染したバナナから採った新芽も病気にかかっているので病気は広がり、プランテーションのバナナが全滅してしまう。
「パナマ病」はパナマだけでなくエクアドルやコスタリカやグアテマラという広範囲で流行したそうだ。
その後「パナマ病」につよいキャベンディッシュ・バナナが登場し、世界中で食べられるようになった。そのキャベンディッシュ・バナナを枯らすTR4フザリウム菌によって「新パナマ病」がインドネシアで発生し、フィリピンだけでなく中国、オーストラリア、モザンビーク、コロンビア、ペルーなど20か国にまで広がっている。
こうした病気からバナナを守る取り組みをしているのが東京農工大学の有江教授だ。
害のない「フザリウム菌」を使って、悪玉フザリウム菌を寄せ付けないようにするという防除アイデアだ。
このほかにもオーストラリア・クイーンズランド工科大学では遺伝子組換えによって、TR4フザリウム菌に強いバナナを開発するという取り組みをしているそうだ。
2人以上世帯の年間バナナの消費量は、リンゴやみかんのほぼ倍の19キログラム。安価で栄養価の高いバナナは私たちにとって大切な食べ物だ。
病気に負けず、これからもずっと元気でいてね。バナナ君。