フィリピンのBGM

フィリピンはさまざまな音にあふれている。
都市部は車のクラクション、田舎に行くと最も多く聞かれるのはニワトリの鳴き声だ。
田舎に限らず都市部の住宅地でもニワトリが結構鳴いている。
さすがに都市部では放し飼いはしていないようだが、田舎だとケージで飼われているのもあるが、ニワトリが歩き回っている姿を見ることも多い。

フィリピンはタイと同じようにギャンブルとして闘鶏が盛んだ。
だから家禽としてニワトリを飼育しているだけでなく、闘鶏用の雄鶏を大切に飼っている男たちも多いようだ。

ニワトリは一羽の雄鶏が数羽の雌鶏を従えるハーレムを作っている。なので縄張り意識が強く、雄鶏は他の雄鶏が縄張りに現れると撃退するために激しい闘争をする。その習性を利用して闘鶏が行われるのだ。

かつての恐竜の血を引き継いでいるのが鳥類だが、ニワトリの持つアミノ酸配列を調べると最強の恐竜ティラノサウルス(Tレックス)と半ダースが同じだそうだ。だから雄鶏の攻撃力のすさまじさはティラノサウルス譲りといっても良いのかもしれない。

ニワトリは社会性の強い生き物で、雄鶏の順位によって鳴く順番も決まっているらしく、朝一番で鳴くのは一番強い雄鶏で、以下2番目に強い雄鶏、それから3番、4番と続けて鳴くそうだ。
だから鳴く順番がわかれば、そのコミュニティの雄鶏の優劣がわかることになる。
コケコッコーとけたたましく鳴くのは雄鶏で、コッコッコーと小さな声で鳴いているのは雌鶏だ。

ニワトリは東南アジアに生息しているセキショクヤケイが家畜化したものらしい。
昔は食料というより、宗教的な存在だったらしく、占いに利用されたりしていたそうだ。
日本でも天の岩戸にお隠れになった天照大神を誘い出すために、朝を告げるニワトリを止まり木で鳴かせたりしていて、その止まり木が鳥居の起源。そしてニワトリは天照大神の遣いといわれ、伊勢神宮には神の鳥としてニワトリが放し飼いになっている。

そんな宗教的な存在から、いまでは食卓に欠かせない食べ物となったニワトリと卵。
産業用の鶏は何万羽もケージで飼育され、動物福祉の観点から問題視されるようになっている。
フィリピンの田舎で飼われているニワトリは、より自然に近い環境で育てられているので、産業用の鶏に比べるとずっと幸せだと思う。

いずれ移住したら、家でもニワトリを飼おうかと思っているが、でもあの鳴き声だけは少しトーンダウンしてほしいな。

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