誰もがスマートフォンでインターネットに自由にアクセスし様々な情報を簡単に手に入れることができるようになった。
ただインターネット上には、信頼できる情報ばかりではなく虚偽や信頼性に欠ける情報も山ほどある。
例えば新型コロナワクチンの効果や弊害について調べるとしよう。
Googleで検索すると厚生労働省のホームページが検索結果がトップにあって、そこにはワクチンには有効性があり、副反応やデメリットはほとんどないという情報がある。それに続く検索結果も有効性や副反応の症状など同じような内容ばかりのページが並ぶ。
一方、専門家が問題としている新型コロナワクチンが持つ危険性についての情報は非常に少ない。
従来は病原体であるウィルスを弱毒化したもの(生ワクチン)や死滅したウィルスから生成された(不活性化ワクチン)ものをワクチンと呼び接種していた。
接種後は体は異物として認識した免疫細胞がワクチンを攻撃する中で、その異物に適合する抗体を生成する。
この情報が免疫細胞に記憶され、同じ病原体に感染すると即座に抗体を生成することでウィルスを撃退する。
新型コロナウィルスはスパイクタンパク質が細胞の受容体と結合して人間の細胞内に侵入する。
このスパイクタンパク質を無力化すればウィルスの侵入を防げるわけだ。
今回つくられたmRNAワクチンには、スパイクタンパク質を細胞内でつくる設計図(メッセンジャーRNA)が収められている。
ワクチンを注射すると、mRNAを受け取った私たちの細胞がスパイクタンパク質を作り出す。
このスパイクタンパク質に対して免疫細胞が働き、スパイクタンパク質にたいする中和抗体が出来ることで新型コロナウィルス感染から身体を守る。
問題なのは、mRNAワクチンは新しいワクチンなので、身体にどのような影響を与えるのか未知数だ。
初期の新型コロナは世界中で急激に拡大し、特に欧米では多くの人が亡くなった。
従来型のワクチンが出来上がるのは数年かかるが、mRNAワクチンは短期間で大量に作ることができるため、緊急避難的に承認され接種がはじまった。
厚生労働省は現時点では問題がないと言っているが、一方では問題があるという専門家もいる。
副反応で重篤な状態になったり後遺症が残ったりするという人が多く出たという。
遺伝子技術で作られたワクチンで、自分の細胞が変異することに不安を抱かないというほうがどうかしている。
しかし私を含め多くの人が、このワクチンのメカニズムを理解しないままワクチン接種をしたのではないだろうか。
さて、こうした問題があるという情報に接したとき、わたしたちは何を信じて判断すればよいのだろう。
厚生労働省は国の機関だからある程度は信用できるが、過去に薬害問題で誤った判断をしたこともあるので全幅の信頼を置くことはできない。
新聞やテレビといったマスコミはほぼ信用できない。
専門家といわれる人もさまざまだ。「“8割おじさん”のように新型コロナで「何も対処しなければ40万人が死ぬ」なんていう人もいるくらいだ。
となると、自分でできる限り信用できそうな情報を集め、最終的に自分の頭で考えて判断するしかない。
そこで重要になるのが「読み、書き、算盤」の能力だ。
普段から良質な本を読み(できれば同じ分野の本を数冊読んで内容を検証する癖をつけておく)、情報の出所を確認し、できるだけ一次情報を読むことが重要だ。
次にものを書くことで頭の整理をする訓練をしておく。
読むことで理解していると思いがちだが、いざ読んだことを書こうとすると、ほとんど理解していなかったことに気づかされる。
書くことは理解と整理、そして記憶することの助けになる。
そして「算盤」。これは単に加減乗除といった計算能力のことではない。数学というのは具体的なことがらを抽象的概念にして論理的思考をするための道具だ。
読み、書き、算盤という能力を養っておけば、何かを選択したり判断したりするときに役に立つと思し、結局のところ教育の最大の目的はそこにあるのではないだろうか。