「敵に塩を送る」ということばがある。
これは戦国時代、甲斐の大名武田信玄が室町幕府の要請に応えて上洛しようとする際、隣国の駿河の大名今川氏が必需品の塩の供給を絶った。塩を断つことで甲斐の領内の混乱が起こり、結果上洛を阻止することができると考えたのだ。ところが武田信玄の宿敵だった越後の大名上杉謙信は信州に塩を送り続け、信玄を助けたという故事からきたことばだ。
その上杉謙信ゆかりの新潟で林外務大臣が、コロナ感染の状況が悪化している北朝鮮を支援する意向を示したと昨日報道された。
この報道を目にしたとき一瞬わが目を疑った。
北朝鮮は多くの日本人を拉致している犯罪国家だ。しかも核兵器を開発し、今年に入って日本海に向けて何度もミサイルを打ちこんでいる独裁国家だ。
新潟といえば、拉致被害者のアイコンともいえる横田めぐみさんが拉致されたところでもある。
その地で北朝鮮を支援するという発言をしたというのだから開いた口が塞がらない。
林外務大臣はかねてから親中国、親韓国の政治家といわれていて、外務大臣の資格がないとさえいわれている人物だ。
先日も韓国の新大統領就任式に出席したばかりだ。
林外相が嬉々として新大統領の就任式に臨んでいるときに、韓国は日本の排他的経済水域で事前通告なしに海洋調査をしていた。しかし林外相はそのことに抗議すらしていない。
今回の林外務大臣の発言は、昨日から訪日しているバイデン大統領が韓国大統領との共同会見で、北朝鮮へのコロナワクチンの供与の準備があると表明したことが背景にある。
日本もアメリカと歩調をあわせて北朝鮮のコロナ感染に関して支援する用意があるとアピールする狙いがあるというのだ。
韓国やアメリカが北朝鮮のコロナ感染に支援をするのは勝手だが、最も北朝鮮の脅威にさらされている日本が支援しなければならないという理由が、私にはまったく理解できない。
この夏の参議院選挙のことしか頭にないと思われる岸田首相や、国益を損なう林外相はできるだけ早く辞めてほしい。
こうした人を辞めさせられない自民党もどうしようもないと思う。