好き嫌いは別として、成人の日本人なら知らない人はいないキャラクターに「フーテンの寅さん」がいる。
その寅さんの「男はつらいよ50 帰ってきた寅さん」をAmazonで観た。
いつも映画は妻と二人で観るが、この映画は日本語のみなので一人で視聴。
「男はつらいよ」は渥美清扮する車寅次郎が主人公の映画で、テキヤとして糊口をしのぐ寅さんが旅先で素敵な女性(マドンナ)と知り合い、いつもいい関係になるのだが友達以上の関係にならずに終わるという映画だ。
全部で48作あって、同じ俳優が同じ役で出ているシリーズとしては最長だとギネスで認定を受けた作品だ。
寅さんには東京柴又に妹と叔父さん叔母さんがいて、思い出したよう柴又にふらりと帰ってはひと騒動起こし、また旅に出るというのも同じパターン。
旅に出ているときの寅さんは魅力的だが、なぜか柴又の家族のところに戻るとガサツで頑固、自分勝手な厄介者になる。
外面がいいというべきか、家族と一緒の時は遠慮がいらないのでそうなるのだろう。
それでも口は悪いが根はやさしいので、憎めないキャラクターだ。
家族や柴又で寅さんを取り巻く人たちもその辺はわかっているから、小競り合いはあっても憎まれる存在ではない。
まあ、面倒くさい人ではあるが。
家族というのは、言いたいことを言える間柄でないといけないと思う。
社会に出るとそういうわけにはいかないが、裸の自分でいられる場所が家庭だ。
そしてそんな自分を受け入れてくれるのが家族なのではないだろうか。
糸の切れた凧のようにどこにいるのかわからないような寅さんだが、彼には帰るところがある。
観客がこの映画を安心して観られるのは、根無し草のような生き方をしている寅さんには、柴又という故郷と家族がありしっかりとした根があることが分かっているからだと思う。
人が自由に羽ばたいていけるのは、家族がいる、帰るところがあるからではないだろうか。