政治的岐路に立つ連合

日本の労働組合の最大のナショナルセンター「連合」が結成されたのは1987年。
「総評」と「同盟」を中心として双方が歩み寄って発足した連合だが、総評と同盟では基本的な考え方が全く違う。
支持政党も総評は日本社会党、同盟は民社党だった。
本来なら結成時に連合としての基本的な政治スタンスを決めておくべきだったが、ナショナルセンターとして一つの組織にすることを優先したため今に至るまで路線が固まっていない。

政界の再編で自民党に対峙する民主党ができたことで、連合は民主党を支持することで一体となった。その後民主党は、左派の立憲民主党と中道右派の国民民主党に分裂した。図式としては新日本社会党と新民社党になったようなもので、かつての総評系の産業別労働組合は立憲民主党を推し、同盟系の産業別労働組合は国民民主党を推すことになった。
今回の参議院選挙も独自の候補者を擁立して戦った。
産業別労働組合の組織内候補者の得票は次の通りだ。

立憲民主党総数 5,202,304国民民主党総数 2,234,257
支持組織得票数支持組織得票数
自治労171,619電力労連238,956
日教組144,344自動車総連234,744
JP労組127,382UAゼンセン211,783
基幹労連125,340電機連合169,929

この結果を受けて連合の芳野会長は、電機連合の候補者が16万9千票をとりながら落選したことに触れ、立憲民主党で当選した候補よりも得票数は多かったにも拘わらず落選したのは残念で、連合としては立憲民主党と国民民主党が「大きな塊になっていくよう働きかけていきたい」と記者会見で述べたそうだ。

しかし立憲民主党と国民民主党では政策が全く違うので、いくら連合が働きかけても大きな塊になることは不可能だろう。むしろ連合は政治的なスタンスを明確にして、政策ごとに是々非々で臨むほうがいいのではないか。

それにしても自治労と日教組の候補の得票数の低さには驚く。以前は総評系の候補者の得票数は非常に多かった。それだけ組織の力が弱くなっているのだろう。


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