男女間格差と幸福度

世界経済フォーラムが発表した「ジェンダー・ギャップ・レポート」で、日本のジェンダー・ギャップ(男女間格差)は大きく世界158カ国中120位。

このレポートは「経済的参加と機会」「教育の達成」「健康と生存」「政治への影響力」の4つの項目で男女間にギャップがあるかどうかを数値化して順位を出している。

もっとも男女間のギャップがないのがアイスランドで、フィリピンは17位なので日本に比べると男女間のギャップはほとんどない国といえる。

項目日本・女性日本・男フィリピン・女フィリピン・男
労働参加率72.886.749.175.2
年収($1,000)30.053.47.410.6
管理職割合14.785.350.549.5
専門・技術職割合51.258.961.538.5
高等学校進学率96.996.371.360.2
大学進学率48.851.240.430.8
健康年齢75.572.663.960.1
国会議員の割合9.990.118.072.0
大臣の割合10.090.013.087.0
国家首長在位年数(過去50年)05015.834.2

日本とフィリピンを比べると、女性の労働参加率は日本の方が多いものの管理職や専門・技術職では女性の割合はフィリピンの方が高い。

フィリピンの女性は男性に比べて働きものでしっかりしているというイメージがあるが、これを裏付ける数字になっている。

フィリピン女性の専門職の割合が高いのは、女性の大学進学率が男性に比べ10%高いことからもわかる。

日本の大学進学率は男女にほとんど差がないが、管理職や専門・技術職で差がついている点が問題ともいえる。
結婚を機に会社を辞める女性は以前に比べると減ってきているが、2006年厚生労働省調査では3割が離職し、さらに子供が生まれたのを機に離職する人も4割程度いる。
男性に比べ女性の方が勤続年数が短いこともあり管理職になる女性の数は少なくならざるを得ない。

一方フィリピンでは家族で子供の面倒を見たりベビーシッターやメイドを雇う人も多く、結婚や育児を理由に離職する女性が少ないこともあり管理職となる女性も多いのではないだろうか。

私が若い頃は女性は結婚と同時に退職するのは普通で「寿退社」と呼ばれていた。
退職後は専業主婦となるのは当然視されていた。
家族を養うのは男の務めだった。なので結婚したら給料に「家族手当」がつく。
以前は年功序列で年齢とともに給料が上がっていったので夫の収入だけでも生活が成り立っていたが、最近は昔ほど賃金が上がらないので結婚後も働き続ける女性が多くなった。

日本の社会的男女間格差が最も大きいのは政治への参加状況だ。特にマスコミはこの点について日本の後進性を取り上げている。

国会議員や大臣に占める女性の割合は10%でしかない。国の代表となると過去50年女性は一人もなっていない。
フィリピンは過去50年に二人の女性大統領がいる。この差は大きい。

この辺りは政治に対する国民の意識の違いが大きいと思う。
世界価値観調査によると、日本人の政治に対する意識は「とても重要」と回答したのは15.0%でしかない。
フィリピンは39.2%が「とても重要」と回答している。

地方自治体の首長には女性もいるので女性総理の登場もそう遠くないかもしれない。

日本では社会的経済的に男女間格差があり女性は男性よりも不利な状況にある。
一方で幸福度調査では女性の34.8%が現在幸せと回答しているのに対し、男性は28.1%でしかない。(内閣府男女共同参画局)

幸福度に関してば女性の方が幸せを感じているのが今の日本のようだ。

おすすめの記事