イエスは飼い葉桶の中にこそいる

カトリック信者が国民の8割を占めるフィリピンらしく、今朝のマニラ・タイムズやサンスターの一面には、ローマ教皇のクリスマスミサでの説教が大きく取り上げられていた。

教皇はルカによる福音書を引用しながら、生まれたばかりの幼子イエスが飼い葉桶の中に寝かせられていた意味を思い起こしなさいと呼びかけたそうだ。

ルカによる福音書にはこう書かれている。
イエスが生まれたユダヤ王国はローマ帝国の保護国だった。時のローマ帝国は初代皇帝アウグストゥス。彼は属州を含め国勢調査を実施した。その調査は保護国であったユダヤ王国でも行われ、マリアとヨゼフは住民登録をするためにナザレからヨゼフの出身地であるダビデの町ベツレヘムに来ていた。

多くの人がベツレヘムに集まっていて、宿はどこも満員でマリアとヨゼフは泊まることができず、マリアは家畜小屋でイエスを生むことになった。生まれたばかりのイエスは布にくるまれ家畜小屋の飼い葉桶に寝かせられることになった。

ちょうどそのころ、羊飼いたちが夜通しで羊の群れの番をしていると、天使が舞い降りてきて「今日ダビデの町で救い主がお生まれになった。お前たちはそこで飼い葉桶の中で眠っている乳飲み子を見出すだろう」と言って去っていった。
羊飼いたちはその言葉を信じベツレヘムに向かい、飼い葉桶の中のイエスを探し出し天使の言ったことが事実だっだことを知り、このことを周りの人々に語った。

教皇は、イエスが暖かい宿の中のベッドではなく、居心地の悪い飼い葉桶に寝かせられていた意味についてこう述べている。
「神は飼い葉桶の中に、まさにあなたたちがどん底と思っていた場所に、再びあなたたちを立ち上がらせるためにお生まれになりました」
飼い葉桶の置かれた周りにはマリアとヨゼフ、そして貧しい羊飼いしかいなかった。しかしそこには愛情と救い主の誕生という驚きにあふれていた。暖かい絆と命の豊かさがそこにあったのだ。

貧しさの中で生まれ、生き、そして亡くなったイエス。そのイエスがわたしたちに教えてくれたのは、真の豊かさとは、物の中ではなく、人々の中に、特に貧しい人々の中にあることだと教皇は話した。

そして最後にこう呼びかけたのだそうだ。
「良いことを行わずして、このクリスマスを終わらせてはいけません。降誕祭がイエスのお祝い、イエスの誕生日であるからには、イエスに喜ばれる贈り物をしようではありませんか。神の名のもと、希望を失った人に、少しでもそれを取り戻させることができますように」と・・・

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