朋(友)遠方より来たる

先日の日曜日に突然スマートフォンに着信があった。

着信音鳴ったときは仕事先からかと思ったが、見ると古い友人からだった。

急だけれど今晩会えないかという。
今日は仕事なので午後8時30分過ぎでないと時間が取れないと応えると、そのほうが都合が良いというので久しぶりに一杯やろうということになった。

家に泊まるかどうか訊くと、家の近くのホテルを予約してほしいというので竜ケ崎プラザホテルに部屋をとった。

この友人とは25年以上の付き合いになる。
その当時住んでいた東京大森町のマンションの隣にあった居酒屋で意気投合し、もう一人の友人とよく飲んだ。

私が大森町から熊本に転勤になった後も彼の仕事が全国の店舗の監査だったこともあって、折に触れて訪ねてきてくれた。
熊本の菊池温泉に泊まったり、私の叔母の家で朝飯を食べたりしたのも良い思い出だ。

その後私は鹿児島の出水市、福岡市と転勤したがその都度遊びに来て、家に泊まっていったものだ。

今回は千葉の彼の叔父さんが亡くなってその後始末でこちらに来ていて、盛岡に戻る前に立ち寄ったのだそうだ。

妻も一緒に龍ケ崎市駅前の「魚民」にいく。
コロナ禍で東京などは営業時間が短縮されたり酒類の提供ができないが、幸い茨城県は対象外なのでゆっくりと食事とお酒を楽しむことが出来た。

友人は若いころパリに駐在していたのでフランス語は得意だが、英語はちょっとだけしかしゃべれない。
それでも妻とも一生懸命話してくれた。

叔父さんが亡くなったこともあるのだと思うが、人の一生はいつ終わるかわからない。それで会える機会があれば逃さないでおこうと思って急に連絡して会いに来てくれたのだと思うし、酒を飲みながらもそんな話をした。

干武陵(Yu Wu-ling)という中国の唐時代の詩人に「勧酒」という五言絶句がある。
日本では井伏鱒二の訳のほうが有名だと思う。

コノサカヅキヲウケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトエモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ

この夜の締めくくりは、なみなみと注がれた日本酒。

次は盛岡で会おうと約束して別れた。

友よよく来てくれた。また会おう!


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