昨日4月29日、連合(日本労働組合総連合会)主催の第93回メーデー中央大会が代々木公園で行われた。
本来メーデーは5月1日なのだが、日本ではゴールデンウィークの期間中にあたるため、連休初日の4月29日に開tかれるのが恒例になっている。
労働組合の専従役員のときは毎年参加していた。
日本の賃上げ闘争は2月に方針を決定し会社に要求。その後交渉を重ねて3月に妥結するというスケジュールで行われる。
したがってメーデーは賃上げ後の労働者のお祭りといった趣だ。
今年の賃金闘争は多くの大手企業で月例賃金のベースアップが行われたようだ。とはいえその額は平均3,000円程度と少ない。
このところの水光熱費や食料品の値上げにともなう消費者物価上昇を考えると、来年度の賃上げは少なくとも2~3%を達成する必要がある。
フィリピンでも物価が上がっていて苦しい生活を余儀なくされている人も多い。
こうした経済環境の中、フィリピンの二つの労働団体(TUCPとAlsa Kontraktwal)が大幅な賃金アップ要求をしているという報道があった。
TUCPが現在の最低日額404ペソを834ペソに、Alsa Kontraktwalは最低日額730ペソに引き上げることを要求している。
その根拠として、5人家族が暮らしていくためには月額最低16,295ペソが必要で、それを労働日数で割ると834ペソの賃金になるといっている。
最低賃金を一挙に2倍にするのはかなり乱暴だとも思えるが、最低賃金が404ペソではまともな生活ができるとは思えない。
賃金は最低でも労働再生産ができるレベル以上でないとならないというのが常識だ。
労働再生産というのは、その賃金で衣食住が賄え翌日も仕事に行けることはもちろん、その人の子供たちが育って、あらたな働き手として社会に出ることまで含まれている。
だからかつかつ生活できるというレベルの賃金は低すぎるということになる。
国内で働いても賃金が低く家族が暮らしていけないから海外に働きに出るフィリピン人は多い。
彼らが海外で働いて得た賃金をフィリピンに送金する額は、2019年で350億ドルを超えていてGDPの9.8%までになっている。
家族を何よりも大切にするフィリピン人が家族と離れ離れになってでも海外に働きに行くのは、フィリピン国内でまともな賃金を得ることができないからだ。
そう考えると2倍以上の賃上げ要求は無謀とまでは言えないのかもしれない。