遺族年金 大改悪!

自民、公明、立憲民主党の3党が賛成した「年金法案」が可決した。

厚生労働省は今回の改正について、年金制度の機能強化を図るために行うもので、働き方や男女差などに中立的な制度にするのが目的といっている。
ただ内容をよく見ると、いかに年金保険料収入を増加させ、支給金額を減らすかに重点をおいた改正といえる。

保険料収入を増加させるために
①短時間労働者の保険適用要件を広げる。
②標準報酬月額の上限を段階的(65万円→68万円→71万円→75万円)に引き上げる。
③在職老齢年金制度で支給停止となる収入基準額を50万円から62万円に引き上げる。

支給金額を減らすために
①本来なら今年度で終わる予定だった厚生年金のマクロ経済スライド(今年度は2.2%。実際の物価上昇率は2.5%なので0.3%減額)を次期財政検証の翌年度迄続ける。つまり実質年金額を減ら。
②遺族厚生年金の支給期間を大幅に減らす。これまでは死別した時の女性が30歳以上なら無期限で支給されていたが、5年間しか支給されなくなる。
③女性が40歳以上なら65歳まで遺族厚生年金に中高齢寡婦加算(年額623,800円)されていたが段階的に減らす。そして最終的には加算そのものをなくす。
④配偶者加給年金額を減額する。現行は年額415,900円。来年度から370,000円程度に減らす。

もっとも大きく減少するのが遺族年金だ。無期限(つまり亡くなるまで)支給されていたのがたったの5年しか支給されない。しかも中高齢寡婦加算も減らしていくというのだ。

見直しの背景には女性の就業者が増えていることで、夫が亡くなっても生計を維持できるようになってきている。遺族年金の支給を5年間として、その間に生計の見直しをして自活できるようにしてほしいとの思惑があるのだろう。
今回、これまで支給制限されていた男性の年齢制限をなくし女性と同様の扱いとすることになった。

しかし日本では男女の賃金格差は依然として大きい。女性の所得だけで生きていくのはいまだにハンデがあるのだ。そこを改善しないまま遺族年金の支給期間を減らすのは問題がある。

一応激変緩和措置を設けること(加算については25年かけて段階的に縮小)になっているが、いずれなくなることに変わりない。

配偶者加給年金についても今後徐々に減らされていくのだろう。現在受給している人は現行の支給金額を維持するというので、この点は良かったが、これから受給対象となる人にとっては影響が大きい。

年金改正は多くの国民にとって重要な改正だ。その割にマスコミなどでの扱いは小さいように感じる。

老後の収入の柱となっている年金が減っていくことは確実だ。そうなると今後は今まで以上に自助努力が必要となる。
年金以外の収入を確保することが何より大切だと痛感している。

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