陰ながら忍者もお手伝い

フィリピンのスモールビジネスの代表選手といえば「サリサリ・ストア」だ。
フィリピン中あちこちにあって、庶民の普段の買い物で利用されている。その数は110万ともいわれている。


妻もフィリピンに戻ったらサリサリストアを自分の家の軒先でやろうといっていた時期があった。
サリサリストアは店舗とはいっても、客が店舗内に入ることはない。キヨスクをイメージするとわかりやすいと思うが、商品は外から見えるように店内に陳列していて、客の要望で代金と引き換えに商品を手渡す方式だ。
だから自宅の一角に商品をストックするスペース(だいたい4~5㎡)もあれば開店できる。
ただ簡単に開店できる分、簡単につぶれることでも知られている。

商品はスーパーなどで仕入れたものを小分けして売るので仕入れ代金も少額で済む。儲けは少ないが、普通に経営していればつぶれることはない。
それでも廃業するサリサリストアが後を絶たないのは、きちんと計数管理した経営をしていないこと、つけ払いの回収が出来なくなることらしい。

なかには家族や親せきが勝手に商品を食べたり、持って行ったりするので経営が立ちいかなくなったという話はよく聞く。

そんな計数管理が全くできないサリサリをアプリを使うことで改善しようとしているのが、Packworksというベンチャー企業だ。


Packworksのアプリは、サリサリストアオーナーの経営管理を支援し、より安価な仕入先や金融商品へのアクセスを可能にするという。すでにフィリピン国内に20万店ものサリサリストアのネットワークを持っているとのこと。
これまでの紙とペンで商売をするやり方だけでなく、デジタル技術を駆使し、零細なサリサリストアが生き残るだけでなく成長していくことをサポートしていくことを目的としているようだ。

こうした取り組みがJICAの目に留まり、NINJA(Next Innovation with Japan)プロジェクトが30,000ドルを支援することになった。

計数管理がとことん苦手といわれるフィリピン人だが、こうしたアプリを活用したデジタル経営が普及していけば、廃業するサリサリストアが減っていくばかりでなく、利用する庶民もより便利な店になっていくだろう。

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