60歳を56歳に(選択制定年)

まにら新聞の電子版にフィリピンの公務員の定年に関する記事が出ていた。
公務員は65歳になると定年退職しなければならないが、60歳から個人の選択で定年退職の時期を選択できるようだ。
この選択定年の年齢を56歳に引き下げる法案が議会に提出されている。

公務員委員会のリサーダ委員長は個人的見解と前置きして「この提案に賛成する」とまにら新聞は伝えている。
その理由としてフィリピンはアセアン諸国の中でもっとも定年年齢が高いことを挙げた上で、高齢の公務員多くは病気になったり、疲れていたりしている。また選択定年の引き下げによって新たな公務員を採用することもできると述べている。
さらに選択制定年年齢を引き下げることで、退職した公務員は家族と一緒に人生を楽しむ時間ができるし、家族と一緒に生計を立てるプロジェクトや小規模なビジネスを行うこともできる。老後を快適に過ごせる時間をプレゼントしましょうと付け加えている。

私がこの記事で驚いたのは、平均寿命が71歳というフィリピンの公務員の退職年齢が高いということだ。65歳まで働くとしたら退職後の時間は6年間ということになる。
日本人の平均寿命は84歳だが、公務員の現時点の定年は現在60歳だ(段階的に引き上げられ2031年度以降は65歳になる)。つまり退職後の時間は19年もある。

世界経済のネタ帳より転載

日本が現在のフィリピンと同じ平均寿命だったのは1975年あたりだが、その当時の定年は55歳だった。それが60歳になったのが1998年で、この年の日本の平均寿命は80歳。定年後の時間は20年ということになる。

退職後の時間を考えると、フィリピンの定年を引き下げるという法案は意味があると思う。
ちなみに日本の公務員の定年年齢の引き上げは65歳だが、これは老齢年金の支給に合わせたものだ。すでに政府は民間の企業には70歳まで働けるようにすることを努力義務化しているが、これも年金の財源を考慮したもので、遠くない将来、年金支給開始年齢が70歳になるということだ。

それはともかく、老後を自分らしく自由に使える時間が増えることは良いことだと思う。

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